「白日の隅 コメント紹介」

白日の隅


  交差点だった。ぽつぽつと立ち止まる人の中で、ぼくはいまかいまかと信号が青になるのを待っている。いや、ほんとうはちがう。
おおきなトレーラーが突っ込んできて、すべてのものを飲み込んでしまうのを待っていた。
 まるで灰の山に灰の山を重ねて、とうとう血管に到達してしまったときのように。おおきなトレーラーが悪魔を殴り殺していく、そのうつくしさ。
 笑顔に溢れた人生を、喜びの渦に身を委ねて息をしている人たちがいて、その真裏で? いや、それはこことまったく同じ場所だ。気付いてしまった。十年前もいまも未来も、三歩下がっても同じなのだ。
 すべて同じ場所で気温で風向きで、ぼくはもうそれが許せない。許せないほど、横断歩道の白線が灰の固まりに見えて、つまるところそれはぼくとなにも変わらない。ぼくたちは悪魔ではないかもしれないけれど、悪魔はぼくたちなのかもしれない。悪魔は灰の山に登り、なにもない、意味のない方向に向かって手を伸ばしている。ずっとそれを繰り返している。同じ場所で、同じ気温で同じ風向きで同じ理由を抱えて、どうせまた同じ表情で、仕方なく同じようなものを愛して。
 交差点だった。
 悪魔を殴れば、ノイズがたくさん出るのだろう。


高橋國光(österreich/ex.the cabs)




普通に生きて歩いて来たつもり、気付いたら目が開かなくなってる。何も考えられなくなった。
今此処、何処。思い出せない。
五感で自分を感じ取れる?

寝室の鏡に向かって、自分に手を合わせて、少し寝よう。

起きたら全てなくなってるかもしれないし、全ての歪な調和した集合体かもしれない?


だいじろー(JYOCHO/ex.宇宙コンビニ)




uremaの今作、1ミリのブレも無く神戸の海の幸サウンドだった。
数年前の夏。神戸の夜の海、ヨットが浮かぶ港で遊んだ。
真っ暗な海に飛び込んで慧ちゃんは相変わらず訳の分からんことばっか言ってた。
アッシーは酔っ払うとすぐ道端の段ボールに突っ込んで寝たし、
高橋が少年から青年へ変わっていく様を俺は近くで見ていたように思う。
此処では書けないような悪い遊びも一緒にやったね。

もう10年以上音楽を作り続ける俺の耳はさすがに肥えた。
残念な話、その辺のバンドが出す音に中々感動は無い。
ただuremaは、俺の悲しみを盛り上げてくれる数少ない音だった。
そんなリズムをくれた。
今作は特に。あまりにも切ない。
木漏れ日や青空が爽やかでもあり悲しくもある感覚があなたにはありますか?
そのsencitiveを大切に。
uremaの音楽を傍らに。


内田秋(ピアノガール)




ライブハウスを始めて5年たって色んなバンドに相談を受けたりアドバイスをしてきたけどuremaは特にそんな記憶がないなあ。

そもそもそんなことが必要ないと思えるオリジナリティを確立してたし、楽曲を積み重ねるたびにどんどん深化していくのを見るのも楽しかった。

オリジナリティを持った表現者というのはライブハウスの財産です。

堅い言い回ししたけど僕はuremaが好きで、この個性的な3人をずっと見ていきたいだけです。

これからもよろしく!


吉條壽記(Live House Pangea店長/RAZORS EDGE)
 
 


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